こんにちは。
とあるメーカーで貿易実務に関わって20年を超えた神高(かんだか)です。
職場の同僚から「L/C(信用状)決済の (ドロワー) って『お金を引き出す人』って意味ですよね?」との質問を受けました。
たしかに「 I will draw some money. 」とあれば「 私はいくらかのお金を引き出します」で正解です。
そして、 のような、語尾の-er は「する人」をあらわすのが定番です。
しかし、L/C における 「 」は全く逆で、「手形振出人」を意味しています。
神高
つまり、 は「お金を払う側」なんですよね
なぜ、こんな逆転現象が起きているのでしょうか?
L/C決済のの意味をと対比で解説
まずは、「 」と「 」を対比でならべてみましょう。
となります。
語尾の -ee は (コンサイニー、荷受人)でも知られるとおり、「される側」ですよね。
でも、ここでいう「 draw 」は「お金を引き出す」のではなく「署名する」「(契約書などを)作成する」という意味で使われているのです。
だから、「 」は「手形にサインをして、支払先にお金を払う約束をした人」という意味になるのです。
逆に、「 」は「約束をされる側」だから「名宛人(なあてにん、手形を受け取る権利がある人)」となっています。
I will draw a . は「契約書を描く」じゃないですよね?
draw はもともと、パソコンのドローソフト(注:主に線画を描くアプリのこと。絵画的な絵を描くのはペイントソフト)からの連想で「描く」という役を当てることが多い単語です。
その一方で、「 I will draw a . 」という英語表現があります。
売買契約など何らかの取り決めを書面で行うとき、「 draw 」は「~を結ぶ書類を作成する」という意味に変わります。
たとえば、このような表現があります。
そうそう。
欧米の世界では、「契約」って「神との約束」を表しているんですって。
といった「契約書」の意味で使われる「 (コヴェナント)」も聖書やその周辺の物語でたくさん出てきます。
約束の地をあらわす「 the land of the 」も、もともとは「神とイスラエルの民の約束」に基づくもの、と理解されています。
「あの約束(契約、聖約)」だから、「 the 」なんですね。
L/C(信用状)決済のしくみについて、別にまとめています
L/C(信用状) の仕組みがよくわからなくて……という方へ。
実はぼくも、わからないことがあれば都度、 UCP 600「荷為替信用状取引規則および慣例」 などのデータを調べたり、銀行の外為部門に質問しているくらいなので、輸出をする側の人は仕方ないと思います。
つまり、必要に応じて、銀行や乙仲業者と相談すれば良いのです。
L/C(信用状)による取引は、日本とタイ、といった二つの国にまたがるだけではなく、それぞれの国で銀行が仲介する、という特殊な流れになっています。
貿易実務、貿易事務の中では一番複雑な決済方法のひとつですから、一人で L/C(信用状)決済を無事に終えられるなら、「貿易事務、できます」と堂々と名乗って良いでしょう。
あとは、自分が所属する組織(メーカーや製造業であれば、自社の製品、商品、サービス)について詳しくなれば、ほかの会社や商品を扱うようになっても対応できます。
信用状の仕組み自体は別の記事にまとめていますので、よろしければ一緒にどうぞ。
【貿易】L/C( of )、信用状決済のしくみと本質とは?|T/T との比較
L/C( of )、信用状決済のしくみを知りたいですか?電子送金(T/T)との対比でまずは理解しましょう。輸入者、輸出者それぞれの国で銀行が仲介することで、貨物の受け渡しと代金決済を安全に進めることができます。
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2020.03.22
信用状のしくみを解説:L/C( of )、信用状決済のしくみとは?
L/C(信用状)決済のの意味をと対比で解説|まとめ
ここまでの内容を簡単にまとめておきましょう。
-er と -ee の対比は、ほかにもいろいろな場面でみることができます。
さまざまな契約書でも使われているので、対比させて理解しておくと、仕事の上でも使いやすいでしょう。
神高
と のような、一見、わかりにくい関係性があっても、ね
最後までお読みくださいまして、ありがとうございました。
明日もお待ちしてます。
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